妥子の留学体験記            page18

 ソリスト科入学試験

ソリスト科の合格率のことを思い、私は事前に打楽器科のクラス全員にお別れのプレゼントを買っておきました。入試が終わったその日の晩にWulff先生をはじめ、みんなで学期末のしめパーティーをすることになっていました。私が受からなければ、ここで夏休みに入り、みんなに会うことはなくなると覚悟していたのです。夏休みは生徒達みんな実家に帰りしっかり休みをとるので、音大には姿を現さなくなります。その間に日本へ帰国かぁ・・・とも考えてました。

大学院卒業試験から1週間もたってなかったような気がします。すぐ入学試験日でした。さすがに緊張しました。私にとって、ドイツに残れる最後のチャンスだと思ってたから。

受験する曲が卒業試験と違う曲だったこともあり、最大限の時間をつかって練習したつもりだったけど、心に余裕がなかったのです。自分自身にプレッシャーを与え、余計に自分を苦しめる状況にもっていってました。

そんな時、助けてくれるのが打楽器科のメンバーです。入試に使うために必要な打楽器が山のようにあり、それをコンサートホールまで運ぶのに一苦労なのですが、わざわざ手伝いに来てくれて、応援して励ましてくれました。でも絶対「頑張って!」とは声をかけないです。
しょうもない話で気持ちをやわらげてくれて、最後に
Viel Spass!
(楽しんでね!)って。言ってくれました。

「そっかぁ、、今さらバタバタしてもしょうがない、楽しもう、審査員に少しでも楽しい音楽を聴いて頂こう〜!」と偉そうにほんまに偉そうに思うことにしました。

打楽器ソロ、マリンバ、ビブラフォンを演奏しました。最初の2曲はそれでも緊張して自分がやりたいと思ったことが十分表現出来なかったけど、最後のビブラフォンは開き直り自分の音に耳を澄まして、ブルースを奏でました。ホールの響きが助けてくれて、その演奏には審査員の教授達も耳を澄まして聴いてくれるのが伝わってきました。いい気持ちだった。

打楽器奏者というのは得なのでしょう。結局点数が一番良かったらしく、合格しました。心から嬉しく思いそして感謝し、新たな気持ちであと2年間無駄のない留学生活を送ろうと決心しました。

最後だと思ってお別れにみんなに買ったプレゼントは持っててもしょうがないので、みんなに配りました。
みんなは「なんで?なんでくれるん?いいん?」と言ってそれ以上聞かずに、さっさと受け取ってくれました。

                           

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